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特別コラム

古賀コラム(25)魔法使いトリマー

皆さんもご自分のワンちゃんをサロンにトリミングに出す事があると思います。今日はそこでワンちゃんのお手入れをしてくれるトリマーさんの奥義のおはなしです。

トリマーさん達がしてくれる「ペットのトリミング」の究極の目的ってなんだと思いますか?愛犬家たちがトリマーさんに望んでいる事、それはただもう1つ「可愛くして欲しい」という事なんですね。ミもフタもないですけど、、。
つまり、良いトリマーとは何かと言うとズバリ「可愛くしてくれるトリマー」であると言えるんです。「技術の上手いトリマー」ではないところが大きなポイント。

たとえば足が短くて妙にズングリした!プードルちゃんが来たり、頭が小さくて貧弱な!シーズー君が来たりした時、トリマーさん達はプロの技で魔法をかけ、それを「スラッと足の長いプードル」にしてお返ししたり、「丸くて大きな顔の可愛いシーズー」にしてお返ししたりしているわけです。

ではプロのトリマーさんたちは、どうやって犬を可愛くしているのでしょう。
ここで出てくるのが「補正」という概念です。
簡単に説明しましょう、まず「短足ちゃん」はどうでしょう。ワンコの胴体があったとして、その上側の毛と下側の毛を2センチずつの長さに切るのが基本だとします。もしとっても足が短い犬が居たら上の毛を3センチ残して、下の毛を1センチまで切ってみます。どうですか?
横から見たら、胴体の太さは同じままですが、胴体が上に1cm高くなったことになります、つまり足が1センチ長く見える様になりますよね?
「貧弱くん」の場合は首回りから頭部の被毛を例えば通常より8mmずつ長く切ってみましょう、あら不思議、頭がいつもより16mmも大きく見えるようになりました。
これはあえて簡単に分かりやすい数値で言っているだけですが、要はこういう微妙な視覚に訴える数値の裏技を色んな場所に駆使して、トータルでバランスをとるのが上手な「体型補正」です。その犬の体型を少しでも理想に近づけお客様の好みに近づけ、最終的に「可愛く」見える様にトリマーさんたちは奮闘しているわけなんです。もちろん賢明なトリマーさんたちは「この子は足が短いのでちょっとでも長く見える様に工夫しておきました」なんてことはお客様には言いません、嫌われるだけですから(笑)。
「ウチの子って実はちょっと短足よね、でもよく分からないけど、このサロンに出すといつも可愛くステキになるのよね〜」なんて思った事はありませんか?そんな時は本当に嬉しいですよね。そんな時は喜ぶ貴方を見て、トリマーさんも嬉しく思っています。
トリマーの魔法はただ技術力が高い証明ではなく、貴方の好みと希望を理解してその子の可愛さを引き出す事のできるバランス感覚の発露だったんですね。

あ、でも1つだけ覚えておいて下さい。トリマーの友達が言っていました。
すっごい不細工な子が来ると逆にワクワクして闘志がわくの!やりがいがあってお客様が喜んでくれるのも嬉しいからね〜と。

貴方のワンコ、この前サロンに連れて行った時、トリマーさんは喜んで迎えてくれましたか?(笑)