あるお客様のご自宅に、介護サービスの打ち合わせに伺った時のこと。
寝たきりでまったく動けず、怪我もしていて包帯でグルグルまき、引きつりの症状が出ていて顔はグンと背中の方に反り返ってしまっています。ちょっと痛々しい姿であることは否めませんでした。
実際にサービスに携わる介護スタッフと同行したのですが、彼女はついつい言ってしまいました、何度も。「ああ、かわいそうですね!!」
一生懸命その度に話をそらして一応ツツガなく打合せは終えましたが、ペット介護サービスに携わる者としては大きな反省が必要です。
このスタッフには何の悪気もありません。きっと自分なりにお客様に共感し最大限の心遣いで出てきた言葉だったと思います。でも残念ながら、お客様の心とはかけ離れていたろうと言わざるをえませんね。
ご自分のご家族やペットが要介護になったことがある方、大変な思いをしたことのある方なら、この気持ちはスンナリときっと分かるはず。でも立場がかわって見る側にまわった時には意外とコレ、言ってしまうものなのです。「人のフリ見て・・」と言いますが、とても気をつけたい言葉です。
老犬の散歩に出た時のこと。以前骨折をした後遺症で足が曲がっていますがそれも愛嬌です。今は全く痛みもないようですし、本犬はもちろん何とも思っていません。普通の犬の身体の尺度からすると地面に伏せた時に足の角度がかなり不思議に曲がって見えるのですが、だから何?なのです。散歩の途中、歩き疲れてのんびり歩道で休憩している時に、通りかかりのオバサマが寄ってきて大きな声でおっしゃいました。「あら足がこんなになっちゃって!かわいそうにねえ、一体どうしたのこれ??」その言い方とあまりのセリフに頭に血がのぼり何も言えませんでしたが、絶句したコチラの顔色にも気付かずにサッサとオバサマは去って行きました。ああ、知らぬがホトケ。
飼っている本人にしてみたら、寝たきりであろうがウンチまみれであろうが、血がこびりついていようが身体が曲がっていようが、ゴハンが飲みこめなかろうがオシッコができなかろうが、それが可愛い愛犬のありのままの姿です。それは決して「カワイソウ」なことではないのです。
自分が全くカワイソウと思っていない状態の時に、カワイソウと言われたらどう思いますか?
そんなこと突然いわれる飼主さまこそ、かわいそうではありませんか。
「あら、お宅のチワワって、ずいぶん大きいんですね、かわいそう!」
「あら、お宅のダックスって、ずいぶん足が長いんですね、かわいそう!!」
一度で良いから言い返してやりたいわと考えてしまうなんて、、、私はかわいそうな性格ですか?