ドッグトレーニングについて少しでも調べたり本を読んだりしてみたことのある方ならば「子犬の社会科期」という言葉はご存知と思います。犬のしつけ(性格形成)においてとても大事な時期と言われていますね。
最近ある専門家とお話をしている際、この子犬の社会科期についての非常に興味深いレクチャーを受け、ついつい「子犬社会科期教の信者」になりかかりました。もう本当に本当に、社会科期って大切なのです!
でもちょっと待って下さい。社会科期っていつのことでしょうか?
そうです、犬の社会科期は生後45日から90日くらい、、、いや4ヶ月だとか半年だとかいう説もあるんですが・・。
それって意外に?長い期間ですね、そして「アラとっくにそんな時期はウチの子過ぎちゃっているわよ、、」という飼主さんが大半なのです。
子犬の社会科期の重要性を勉強し理解た上で、イザ!と子犬を飼い始めた方ならイザ知らず(?)通常の「言う事を聞かない愛犬に」悩める飼主さんにとっては、そんなこと言われたってイマサラなのよね、、というのが実情です。
事実、私が教えを請うた子犬社会科期の大家も、社会科期を適正に過ごす事のできた犬がどんなに賢く扱いやすく可愛く素晴らしい犬になるか!は見事に解説してくれましたが「ではその社会科期をダメダメに過ごしてしまったワンコは??」というドキドキの質問には一言「そりゃもうダメだ、、」とのことでした。うーん泣けてきます。
日本のドッグトレーナーは本場のイギリスのトレーナーよりも「仕事が大変だ」と言われています。なぜかと言えば、イギリスのドッグトレーニングはそれこそ子犬を飼い始めた「社会科期」にしっかりトレーニングを始めるのが通例だからです。
日本ではかなり意識の高い愛犬家でない限りは、なかなか最初からトレーナーさんのお世話になろうとは考えません。半年過ぎ、一年過ぎ、、もうどうしようもなく手に負えない状態になってから慌ててトレーナーさんを探し始める方が大半なのです。
素直な子犬にパピートレーニングを入れるのと、1年たってご家族の手が傷だらけになってから焦ってトレーニングをやり直すのとでは、トレーナーの心構えとしては、幼稚園児とお遊戯を覚えさせる保母さんと、不良の高校生とタイマン張りながら心理戦を行うキンパチ先生くらい差があるのです。
では貴方の愛犬が既に斜にかまえた小学校高学年だったり、グレはじめた中学生だったり、真性不良の高校生だった場合はどうすればイイのでしょう。これは「何故」そうなったのかがご家庭によって違いますから一概にどうこう言えるコトではありません。
でも冷静に1つだけは信じて下さい。子供がオカシクなるのには必ず親に原因があったのだと。そしてもちろん遅きに失したとは言え「子犬の社会科期」が大切なのは真実ですから、概念として決して忘れてはいけません。
まだ小学生なら、少しずつでも良いから社会を見させても良いでしょう、中学生ならグレ方にもある程度個性が出て来ています、よくストーリーを見極めて取り組みましょう、真性の不良高校生では既に貴方には荷が重いかもしれませんが、それでも真摯に受け止めて改善をはかりましょう。
まちがっても、突然スパルタ式のヨットスクールに入れたり、全寮制の学校に押し込んだりしてはだめ、その逃げを不良はしっかり感じとり貴方への信頼は更に失われて行きますから。
ドッグトレーニングとは、一種の犬の心理学です。犬には犬の本能があり、犬なりのモノの理解の仕方、覚え方、感じ方、があります。それをキチンと理解した上で人間が望む事を犬に上手に伝え分からせる。それがドッグトレーニングの真髄なのです。
これは一種の「通訳」の仕事に近いと言っても差し支えありません。犬語が英語だと思って考えてみて下さい。英語しか分からない犬に日本語で散
々話をして、分からないからと怒っていても仕方ないのです。犬への上手な「伝え方」を知らないままで、自分の犬をバカだバカだと言っている飼い主さんは意外に多いです。もし貴方が今愛犬との意思疎通ができず悩んでいるならば、冷静に「勉強不足だったかな?」と我が身を振り返ってみて下さい。
決してあきらめてはいけません。ヤケになってもいけません。
貴方の(元はとっても可愛かったはずの)不良高校生が今貴方に牙を剥いている原因は、きっと貴方にあったのです。
そして悩んだら一家心中を考える前にまず、信頼のおけるドッグトレーナーに相談しましょう。そのためにこの世にプロフェッショナルと呼ばれる方達がいるのですから。