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特別コラム

古賀コラム(22)戒名は必要ですか?

今日はちょっとシビアでシリアスな半裏話です。最近愛するペットをなくされた方はご遠慮頂いた方がヨイかもです(一応警告しましたよ)。

動物医療がこれだけ発達した現代では、ペットの臨終を動物病院内で迎える愛犬家愛猫家が増えています。
動物病院の方針にも寄りますが、多くの病院では不幸があった際に「葬儀はどうなさいますか?」とお声がけするようです。愛するペットの死を前にして飼い主さんは落ち込み動転しています。そのまま深く考えず、ではお願いしますと言えばそのまま病院紹介のペット葬儀業者がやってきて様々なセレモニーから納骨まで、葬儀のシステムは実にスムーズに用意されています。

以前知り合いの大手ペット葬儀業者のイベントに伺った時のことです。「年1回のイベント」と思っているのは内輪だけ、大きな会場の垂れ幕には「****大法要祭」としたためられていました。幕の中は大勢の人ヒトひと。荘厳な読経をバックにしめやかな儀式が執り行われています。
入口には長蛇の列。そして皆さんが受付で記帳をしつつ袱紗(ふくさ)を取り出し「お布施」を納めておられます。何を隠そう毎年のこの「お布施」でこのお寺(企業)は潤っているのでした。ちなみに言いたくはありませんがしっかり言ってしまいますが、現在の日本の法律ではペットの法要は宗教行事としては認められていません。つまりこのお布施は経理上はシンプルな「イベントでの売り上げ」なのです。来場者の真剣なお顔としめやかな雰囲気の中で、どうにも居心地悪く複雑な気持ちになってしまう我が身はまだまだ甘いと痛感したものです。

葬儀業者さんの日常の営業先は近隣の動物病院です。いかに多くの「お客様」を回してもらうかがキーとなるからです。もちろん良い「成績」をあげて下さる動物病院さんには季節のご挨拶、お礼も欠かせません。業者の多い地域では「お土産合戦」や「バック率合戦」などがこれもしめやかに行われているとかいないとか。。

友人の家に遊びに行った時、錦の織物に包まれた多角形の美しい箱が食卓の上に置いてあったので何だろうと思ったら、8年前に亡くなった愛犬のお骨だといわれ、ちょっとギョっとしてしまいました。もちろん大事に戒名も隣に掲げてありました。人様と同じで、戒名にも値段によって「格」??や「長さ」が違うのだそうです。
中国原産の洋犬で名前はポップなカタカナ名、さて戒名は漢字でしたがどういう根拠でつけたのだか、まったく恐れ入ってしまいます。そんなテーブルの上でお茶を頂きながら古き良き愛犬話に花を咲かせ、あの子は虹を渡って天使になったから、、などと言われてしまった日には、ちゃんと目的地につけたであろうかと心配になってしまうではありませんか。え、骨はまだココにあるけど?果たしてあの子が会えたのはお釈迦様なのかキリスト様なのか閻魔様なのか、、、!?

「ペットロス」と「ペットロスカウンセリング」と言う言葉は日本にも定着して久しいですが、欧米でのペットロスカウンセラーと日本でのカウンセラーの活動にまだまだ根本的な隔たりがあるのは、やはり「宗教観」の差異に寄る所が大きいです。
全てを許され、背中に天使の羽を生やし、天使の様相のワンコが虹の橋を掛けていって、、向こうの門番に戒名を渡したらどうなってしまうのだろう?
せめてどちらからも出入り禁止になってしまうことのないよう、心から「祈る」ばかりです。

貴方のペット、行き先はどこでしょう?思い出が貴方の心の中で輝きつづけるために、その戒名は必要ですか?