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特別コラム

古賀コラム(21)どこにも正解はないんです

「ABフードを食べさせ続けたから私の犬は病気になって死んでしまった。私はあの悪魔の様なフードを糾弾し、正しいペットの栄養学を啓蒙し、生食の紹介と販売にかけて行きたい」と、ある愛犬家は言います。
「現代の犬の食生活は過保護になって乱れすぎている。生食ブームなんて具の骨頂、ドッグフードは完全栄養食である、他に変なものをやるから病気になる」と、あるドッグフード専門家は言います。

「先日愛犬の癌の手術で血液の交換をしました、1回40万円の手技で、これで2回目でしたが効果があればもう一度と考えています」と、ある愛犬家は言います。
「たかが犬に何十万の手術とか高価な薬とか、信じられない。動物として限度を考えて飼育するべき、癌なら癌、死ぬ時は死ぬ」とある専門家は言います。

「ペットは人間ではなく動物である、人間の家族の様に飼うなど逆にペットも迷惑しているだけだ、節度ある関係が大切だ」と、ある愛犬家は言います。
「ペットは大切な家族、人にあるものはペットにあって当たり前、食事はもちろん食卓で一緒にとっています、全てのペットに温かい家庭環境を」と、ある愛犬家は言います。

「犬は賢い動物、叩かなくても上手にしつければトレーニングは入ります。体罰をやめ誉めるしつけを徹底しましょう」と、あるドッグトレーナーは言います。
「犬は所詮動物、理屈など通用しないし誉めてもつけあがるだけ、ビシビシしごかないと服従心は育たない、体罰は必要悪なんだ」と、ある訓練士は言います。

「犬や猫は4つ足で立って走り回れてこそ幸せな生活を送れる。寝たきりになった犬猫に幸せはない、寝たきりの犬猫には安楽死が妥当である」と、ある動物愛護家は言います。
「命はかけがいのないもの、たとえ何があろうと安楽死などありえません。全ての動物は自然に死ぬまで生かし続けるべきです」と、ある動物愛護家は言います。

「ペットは他の動物と明確に区別されるべき、いまだに犬を食べているあの国は許せない、断固抗議を続けて行きます」と、ある愛犬家は言います。
「動物は動物、命は命。動物愛護を訴えるのであれば、牛や豚も食べるのを辞めるべき、全ての動物愛護活動家は少なくともベジタリアンになるべきです」と、ある動物愛護家は言います。

「犬にしつけをするなんて人間の傲慢です、うちの犬は全く訓練などせず自由奔放に育て、幸せに生きています」と、ある愛犬家は言います。
「犬を飼うからには、最低限の社会的マナーを身につけさせてこそ、犬も飼主も幸せになれます」と、ある飼育アドバイザーは言います。
「犬の幸せってなんでしょうか。そんなもの、幾ら考えても人間には結局分からないのではないでしょうか」と、ある哲学者は言います。

「休日の銀座で珍しい犬を見つけたの!黒山の人だかりで、すっごく可愛いから私も写真をとってきた!」と、ある若者は言います。
「休日の人ごみに自分のちょっと珍しい犬を連れて行って嬉しがってる飼い主って最低、犬を何だと思ってるんだろう、喜んで写真をとる周囲の人間もバカとしか思えない。」と、ある若者は言います。

「見て!うちのアフガンハウンドのこのスラっとした精悍な顔、そして優美なスタイル!ウチの子は世界で一番!やっぱり飼うなら優美な猟犬をお勧めするわ」と、ある愛犬家は言います。
「見て!うちのブルドッグのこのヘチャムクレのブサイク顔、そしてこの肉饅頭のような体型!ウチの子が世界で一番!やっぱり飼うならたまらなく可愛い役立たずをお勧めするわ」と、ある愛犬家は言います。

「人は常に学び続けねばならない、愛犬家なら犬について常に本を読み情報収集をし、知識をどんどん新しくして行かないと」と、ある人は言います。
「何で皆が皆、言う事がテンデバラバラなんだろう、本を読めば読むほど、人に聞けば聞くほど分からなくなる」と、ある人は言います。

「どこにも正解はないんです、そして全てが正解なんです」と、私は言うしかありません。