世の中、何でも産地直売の時代です。ちょっと田舎道を走っていれば、農家の軒先に採れたての野菜が売っていますし、朝早起きして海辺の市場に行けば新鮮な魚を自分で買う事もできます。様々な仲介業者が入る事による経費や上乗せ分を考えると、売る側も買う側もその方が絶対お得。買う側は新鮮で出所のわかる品を通常より安く購入出来るし、売る側は卸で仲介業者に売るよりも高く売ることが出来る、お互いに嬉しい話なワケです。
ところがコレが子犬の世界ではなかなか通用しません。ナゼでしょう?
ごく自然に考えれば、犬を飼いたいと思った人がブリーダーさんから直接犬を購入するのがベストです。安く良い犬が買える、と思いますよね?そしてブリーダーさんもそれが一番嬉しいはずだと思うでしょう?ところが日本の子犬業界ではまだまだそれが通用しないのです。ブリーダーから直で購入する場合は、細心の注意を払う必要があります。
理由その1
「ブリーダーの業界にはまだまだ闇がある(笑)」
徐々に改善されてきたとはいえ、まだ悪質業者が多いことも事実。びっくりするような悪徳ブリーダーが存在します。こういう場合は素人が太刀打ちするのは無理。子犬を見せてもらった時に、その犬の善し悪し、精神状態、健康状態、感染症や先天性疾患の有無を見分けて指摘することは一般の方にはまず出来ないです。またブリーダーの多くは「補償」をしません。消費者センターへの苦情も、実際に上位を占めています。文句を言いに行ったら入れ墨見せられた、、なんて笑えない実話も。
理由その2
「子犬の問題は原因究明が困難」
子犬はとてもデリケートな生き物。ちょっとした環境の変化や移動、周囲の人間の扱いなどによってストレスから体調を崩す子が沢山います。そうして一度体調を崩すと、どんどん具合が悪くなってしまうのがまた難しい所。最終的な病気や死因が何だったとしても、元々のきっかけはストレスだった、ということが非常に多いのが事実です。また子犬にも「突然死」というものがあり、原因不明のまま突然なくなる子犬もいます。
こうなると子犬に何かがあった場合、獣医さんであろうと最初の原因を突き止める事はできません。誰が悪かったのか決めれないから、当然モメ事が大きくなる。
理由その3
「愛犬家は面倒くさい(笑)」
業者への卸しかしない職業ブリーダーがよく言う言葉です。一般愛犬家はああだこうだとウルサい(笑)。クシャミをした〜下痢をした〜トイレを失敗する〜吠える〜咬む〜。勘弁してよね〜というのがブリーダーさんの本音。ブリーディングのみで商売している繁殖家にこれはシンドイ。やはりサービス業に徹している業者の方がお客様対応は慣れています。
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子犬を扱う業者はなぜ必要なのか、一言でいえば「リスクを負うため」です。子犬を扱うのは本当にハイリスクな業務、どんなに気をつけても子犬譲渡には事故がつきもの、それでも良くも悪くもそのリスクを一手に引き受けているのが仲介業者なのです。
最悪子犬が死んでしまった場合、ブリーダーは補償をしてくれませんから業者は自腹で補償をします。だからこそ子犬選びの目も厳しく確かになる。子犬を扱うプロとは、ブリーダーの善し悪し、子犬の善し悪し、それをお客様に変わって判断する「目利き」屋さんなのです。
時々、仲介業者から子犬を買った後でブリーダー直売の値段を知り「高額で買わされた、詐欺ではないか?」という相談を受けることがありますが、大きな認識違いです。
時間をかけて何件ものブリーダーを比べて吟味し、安心出来る子犬を選び貴方に引き合わせ、その上で何かと相談を受けてくれる「プロフェッショナル」に支払った対価だと思って頂ければ、そのおかげで愛犬と出会えたのだと思って頂ければ、決して高くはないはずです。
それでもまだ、絶対ブリーダーから直接買うと言い張りますか?(笑)