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特別コラム

古賀コラム(11)ハイブリッドになれるなら?

ラブラドゥードルにゴールデンドゥードル。
パっと見て、すんなりと読めた人は結構な犬種通。誤植だと思った人は注意深い常識人、間違えてると思った方は勉強不足、なんのことか分からない人は注意不足です。

犬の世界にも進出してきたハイブリッド犬種(二重純血犬種)には、まだまだ色々な意味で賛否両論あります。見ての通りラブラドゥードルとは元々、ラブラドール・レトリーバーとスタンダード・プードルを親に持つ犬のこと。ゴールデンドゥードルも、ゴールデン・レトリーバーとプードルの子です。
でも「ああ、先週近くのペットショップで見たよ!」という方はちょっと待って、それが本当の「ラブラドゥードル」であるかはちょっと疑問です。

誤解している人が多いのですが、ラブラドゥードルは単なるラブとプーの雑種ではありません。また現状では日本の街の一般ショップで陳列販売されている様なものでもありません。もし近くに普通にラブラドゥードルがいたら、それは単なるラブとプーの雑種である可能性が高いです。
何が違うか?簡単に言えば、本物のラブラドゥードルは、両親ともにラブラドゥードルなのです。そもそもハイブリッドとは言う物の、既にラブラドゥードルは1つの犬種として認められつつあります。ある新しい犬種を新しい「純血種」と呼ぶにはそれぞれの公認団体で規格が決められていますが、いずれにしろ雑種とは扱いがちがうのです。例えば通常は4世代以上交配が続いていることが条件とされ、様々な特質がある程度定着していることなどが要素となります。その犬種の特質を定着していく過程ではラブとプー以外の他の犬種の血筋も計画的に取り入れられていて、現在では単にラブとプーの血が混ざっているだけではありません。
なぜ誕生したかということにも深い意味があり、たとえばラブラドゥードルが作られたのには、盲導犬、介助犬、聴導犬として適正な犬を作る、という目的&役割があるのです。いま盲導犬や介助犬のほとんどがラブラドールやゴールデンですが、これらの犬種は非常に毛が抜けやすいのが難点〜目の不自由な人の部屋のお掃除も大変〜アレルギー体質の利用者のためにも毛の抜けにくい犬になればいいのに〜というわけ。一応キチンと作出の動機があるのです、単に「売れそうだったから」というワケではありません。

もちろん、こういったハイブリッド交配にはメリットデメリットがあります。
60年代にハイブリッド犬種の作出が流行したことがありました。「コッカプー」や「チワックス」「ラブラワワ」など、想像するだけで楽しい(恐ろしい?)ものが沢山うまれました。たとえばチワワとダックスを掛けた「チワックス」。見た目は可愛くてもチワワの細い足にダックスの長い胴体ではムリが出てきます。外科的に問題のあるこういったハイブリッドは今では禁止されています。ハイブリッドは面白おかしく行うものではなく、確かな哲学と知識が必要なのです。

またハイブリッドというと聞こえは良いけれど、一般の方から見るとただの雑種と見分けがつかないのが正直なところ。新たな適正な犬種を作出するために真剣にラブラドゥードルを考え、厳密な交配を繰り返している真面目なブリーダーさんからキチンと購入するならおすすめですが、どこかの管理の不十分なお宅で、あら?ラブちゃんとプーちゃんがくっついちゃったわ!なんて言って生まれて来てしまった「なんちゃってラブラドゥードル」も。。。これは単なる雑種、ハイブリッドという考え方からすると論外です。ミックスの家庭犬としてとして可愛がる分には何の問題もありませんが、お散歩中に得意気に「ウチの子はハイブリッドなのよ」なんて吹聴するのは恥ずかしいから辞めておきましょう(笑)。

先日、あるショップで「コッカーしばニエル」が売られていたそうです。笑ってしまうけど、笑えない話です。

もし貴方が父親と母親を選べるのだとしたら、誰と誰にしてほしいですか?