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特別コラム

古賀コラム(28)プロトリマーを目指す人間に最後に必要な資質

関係している協会の主催する「全日本学生トリミング技術コンテスト」に呼ばれ、審査員としてコンテストを見ることがあります。そもそも全国のペット系専門学校の中でも上位の学生が集まり腕を競うコンテストですから、当然のことながら非常にレベルが高く、皆さんとても上手です。2時間でトイプードルの「ラムクリップ」という形を仕上げるのですが、終了時には本当に見事なラムクリップがそろい踏み、なかなか壮観です。正直言って出場者の皆さん全員に賞をあげたくなってしまいます。

でもコンテストですから順位を付けねばなりません。「最優秀」を決めなければならないのです。皆が上手で皆がキレイに仕上げて来た時、どれも美しくステキに見える時、技術的に本当に差がない時、そう言う時は最終的にどうやって順位や優秀賞が決まっていると思われますか?

トリマーのコンテストでカット競技中に何を一番審査員が見ているのか?それがポイントです。
審査員はまず第一に「犬の扱い方」が適正であるかを見ています。どんなに最後にキレイに仕上がっていても、その2時間の間にモデルとなった犬が痛い思いをしたり無理な姿勢をとらされたり精神的なストレスを受けていたとしたら、それは「良い」トリミングではありません、つまりそれは同時に「良い」トリマーではないのです。「犬の扱い」は何より優先されるトリマーの課題です。
また別にそれぞれのトリミング道具の適正な扱い方や「安全面」に配慮した取扱いの約束、そしてその犬に応じた全体のバランス、全体の美しさ、それぞれの技術のテクニックなどの評価を総合して、最終的なコンテスト結果が出て来ます。ですからただ「上手い」のとはワケが違うのです。

皆さんもご自分のワンちゃんをトリミングサロンにお願いする時、やはり一番大切なのは「ワンちゃんが安心して心地よく戻って来てくれること」ですよね。どんなに美しくなるからと言ってもトリミング中に怒鳴られたり叩かれたりしていたとしたら、絶対にイヤですよね?
今度サロンにワンちゃんを出して迎えに行く時、ワンちゃんが可愛くなって嬉しそうに笑顔で出て来たら、是非担当したトリマーさんに「貴方に頼むといつもウチの子が嬉しそうで安心するわ」と言ってあげて下さい。
それはトリマーさんには何より嬉しい褒め言葉なのです。