子犬を購入された方と販売した業者との間で起きるトラブルには色々なものがありますが「サイズの苦情」は多いです。
子犬が成犬になった時、とうてい想像もしなかった大きさになってしまった、というのは意外にあるハナシ。(個人的には笑い話と捉えていますが。)この手の「苦情」は単なる「文句」であり、通常の神経のお客様でしたら「ウチの子は思ったより大きかったから返します」とは言いません。大きかったなーと思いつつ可愛がりながら飼い続けるのが普通です。そして販売業者側には「うーんご飯を沢山あげすぎたんじゃないですか?」という伝家の宝刀があります。つまりは業者の側では苦情であるとは認識すらしていない、というのが悲しいけれど現実です。
サイズのトラブルを相談される度にいつも感じるのは、元々お客様側のサイズについての「認識違い」が多いという事。これはもちろん説明していないプロの側にも問題があるのですが、たとえばカニンヘンダックスフンドやティーカッププードル、豆柴犬など、「小さいから」この犬種が欲しいという方に多い傾向です。
ミニチュアダックスフンドとカニンヘンダックスフンドを別の犬種ととらえ、「小さめのミニチュアダックスフンド」ではなくて、きちんと血統書が「カニンヘンダックスフンド」の子犬が欲しい!と希望されるお客様は多いですが、まずこの時点で大きく認識が違います。
厳密にご説明すると長くなってしまうので簡単に言うと、ミニチュアダックスとカニンヘンダックスは元々同じようなもので、それを書類上カニンヘンとしたり、ミニチュアとしたりする、という事です。もともとダックスフンドとはご存知の通りドイツ原産で「ダックス(穴熊)」の狩猟に使われる犬ですから、そのサイズはどれくらいの大きさの「穴」に入って行けるかで決まります。だからこそ他の犬種とは違って「体高」ではなく「胸囲」でサイズを規定するわけです。
つまりミニチュアダックスフンドを両親に持ちながらカニンヘンのサイズで生まれてくる子犬もいれば、その逆も多々あるということ。
たとえば今の日本の基準ではミニチュアダックスフンドでもカニンヘンの基準を満たしていれば申請して血統書をカニンヘンに変更することができます。(日本ではミニチュアよりもカニンヘンの方が「高く売れる」のは周知の事実ですから、わざわざカニンヘンをミニチュアに変更する人は居ませんネ・・・。)
ではどうすれば「正しく」カニンヘンを見分ける事ができるのか?これは難しい問題です。
まず根本的にブーイングを覚悟で申し上げれば、そもそも小ささにコダワるのを辞めてしまうのが一番の解決策です(笑)。先日も色素の問題をお話ししましたが、遺伝学上も「小ささを求めて」繁殖した結果、良い影響がでることはあまりありません。
「おうちの中で飼うので柴犬ではなくて豆柴が良い」などと言う方も居ますが、体高がたかだか数センチ変わったくらいでオウチの中での問題が変わる訳ではありませんし、しつけがしやすい訳でもありません。賢いゴールデンレトリバーよりも、言う事を聞かないチワワの方がよっぽど家の中では邪魔になります。
何犬であろうと、どうしても大きさにコダワりたい場合は、両親犬のサイズを知るのが一番の近道であることは間違いありません。またその親から過去に生まれた子犬がどういう子であったかを知っているブリーダーにたずねるのが一番です。血統書がどうであれ、その犬がどうなるかを一番確実に知っているのはブリーダーなのです。
そして血統書を見たとき、兄弟の数を見てみて下さい。繁殖の常識として当然の事ながら、母犬の身体は大きいものほど沢山の子犬を生む率が高いです。一匹幾らで商売をしているブリーダーが、わざわざ小さな雌犬に生ませる事もあまりありません。サイズにこだわった小さな小さなカニンヘンダックスの雌犬が7匹兄弟の子供を生む事も滅多にありません。繁殖の現場では血統書上の問題などを含めて「ノミの夫婦」の交配は多いのです。
さあ、貴方のダックスフンドは何匹兄弟だったでしょう?
ただしココだけの話、コレもブリーダーが正直に「事実」を申請しているという「前提」での話ですナンデスガ・・・・・。(夜道を歩けなくなると困るので、今日はこの辺で・・)