動物愛護法の改正が間近です、色々とニュースが流れていますね。かつて動物を「管理」する法律だったものが「愛護」する法律へと進化し、日本のペット業界も大分変わってきました。だいぶ「拓かれた」といって良いでしょう。それでも・・まだまだブラックホールの様な暗闇がソコカシコに隠れているのもまた事実・・。
知人がマルチーズを飼ったと言います。それなら言ってくれれば良いものを近所のショップで一目惚れで衝動買い、まあアリガチな話です、そこまでは笑って済ませましょう。見て見て~とばかりに携帯から送って来た写真には、なにやらこう、ちょっとカールした白い毛の、かろうじてマルチーズらしき子犬が。「ちょっとクセっ毛で可愛いでしょう?」とハートマーク付きです。はいはい「ホントだ可愛いね~!」と返信してあげようではありませんか。
初めて子犬を「仕入れて販売」する方に対しコンサル中に必ずお伝えする内容の中に、各犬種ごとのブリーダーからの仕入れ時における注意事項があります。
例えばマルチーズの様な全身真っ白な犬の場合は「色素は濃いですか?鼻は黒いですか?アイラインはキチンと入ってますか?」という確認が必須です。つまりそれくらい、マルチーズには鼻が肌色だったり目の縁の線が黒くなかったり、つまり色素の薄い子が多いのです。そして確認しない限り普通に鼻の肌色の子が送られて来たりするわけです。ブリーダーの決まり文句は「え?予約するときそんなコト聞かなかったでしょ?」。
全ての犬種(動物)は、どんどん交配して子孫を増やして行く過程で色素が減退していきます。つまりどんどん「黒」が弱くなり白っぽくなって行くのです。仮りに白いプードルの場合には同じ犬種の中に黒も茶もいますから、普通に繁殖の過程で濃い色素を受け継ぐ事が出来るので表面化してきません。でも犬種標準上「マルチーズ」には白しかいませんね。そうすると普通に交配を続けて増やして行くだけでは白くなっていくばかりで「色素の改善」はムズかしいのです。それでは瞳も目の縁も鼻も足の裏もキリっと黒い、美しいマルチーズを生ませたいブリーダーはどうするのでしょう?そうです、もちろん、色素の濃い血統のマルチーズを交配して徐々に改善するのですね。うーん・・・でもコレって優等生の答えだなー。もっと簡単で効果抜群でラクチンな方法はないものか?
たとえば、たとえばですよ?仮りにマルチーズに白のプードルを交配して50%のマルチーズを作ります。色素の改善された犬を残して、またこの犬をマルチーズと交配して75%のマルチーズを作ります。また色素の良い犬を残し、さらにマルチーズを交配すると87.5%のマルチーズができます。次の世代では93.75%で誰が見てもマルチーズ(色素抜群)ができますよね。でもあら不思議、ちょっと毛がカールしているかも?まあクセっ毛なんて可愛いものですから。これって人間では20歳で子供を生んだとしても60年かかりますが、犬の場合は6年あれば充分なハナシ。
世の中には色んなマルチーズがいますよね。マルチーズにしてはスタイルが抜群によくスラリと足が長かったり。マルチーズにしてはちょっと可愛いクセっ毛で耳のあたりがうっすら黄色かったり。あー可愛い!
さて、仮りにあなたのお母さんが国際結婚をして、あなたがハーフだとしましょう、あなたの孫は87.5%日本人ですね。あなたの孫はすばらしい目鼻立ちをしていて、ハリウッドで活躍するかも知れません。ミス日本のオーディションであなたの孫に負けたタレントが睨んでいたら、しっかり言い返してやりましょう。「文句あるの?うちの孫はれっきとした日本人よ!」って。