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特別コラム

古賀コラム(15)自分の愛犬は自分で守る時代

仕事柄、ペットに関するセミナーで色々な方にお会いしますが、中でも最近増えてきているように感じるのが動物の「介護」に関わる方々です。
ペットの介護士の資格をお持ちの方に、最初にお勉強をしたきっかけをお聞きすると、意外に多いのが「自分の愛犬(愛猫)が最期に要介護になった時、何をしてあげることも出来ずにあとで後悔したから」というお返事。また看護士の方にも「自分のペットがいざ病気になった時、獣医さんの言っている事がさっぱり分からず難儀して、分かるようになりたいと思った」という方が多いですね。
ペットの医療も介護もこれだけ進化してくると、色々と理解するのが難しくなってくるのは当然、専門家の説明には難解な言葉も含まれてきます。理解ができないと自分の対応の仕方も曖昧になってしまい不安が残ります。やっぱり自分の家族の一員のことだから、しっかり納得した上で治療やケアをしてほしい。一般の方がそう思い始めたのも当然なのでしょう。

先日お会いした若い女性は、数ヶ月前に4歳の愛犬を亡くしたとのことでした。行きつけの動物病院で避妊手術を頼み、無事に終わりましたよと連絡をもらった数時間後、急変したと電話が来て、、もう間に合わなかったと。本当にかける言葉もない状況です。
愛犬が亡くなってから、手術の前には何も言わなかった獣医さんが「元々肝臓の悪い子だったから、こういうこともあり得た」とおっしゃったのだそうです。それなら手術の前に言ってくれるべきですし、獣医さんは肝臓が悪い事も知っていたのですから、まったく納得が行かないですよね。
それでもどんなに泣いても怒っても死んでしまった愛犬は戻ってこないし、こうなると飼い主さんは精神的に参ってしまって文句を言う元気もないというのが本音でしょう。
愛犬に避妊手術を受けさせようと考えた良識ある飼い主さんに突然怒った悲劇、本当に残念で悲しいことです。

いずれにせよ比較的簡単だと言われる避妊手術でもこういうことが実際怒るのですから、やはり飼い主は色々とリスクを知って考えてから行動を起こすべきだと思います。
例えばこれは一般的にもある程度知られていますが、法律で年に1回の接種が定められている狂犬病の予防接種でも、実は毎年その副作用と「思われる」症状で数頭のワンちゃんが亡くなっています。確率はかなり低いですが、愛犬家なら事実としては知っておくべき事柄でしょう。予防接種の会場では、よほどの事がない限りはそんな事実は教えてくれません。法律で決められている「義務」を果たすために当然と思って来ている善意の飼い主さんたちも、死ぬかもしれないと聞いたら少し慎重になるのではないでしょうか。
わざわざ看護士や介護士などの資格のお勉強まではしなくても、たとえばワクチンや予防接種を打つ前にでも、ちょっとその仕組みやリスクなどをザっとネットで調べてみるだけでもだいぶ違ってくると思います。ご自分の理解度が増せば何かあった時の対処にも差が出てきますし、獣医さんに質問してみたいことなども出てくるかもしれません。

こんなこと言ってはいけませんが、動物病院の獣医さんだって、サッパリ分かっていない飼い主さんよりも、ある程度調べてきて色々と質問をしてくる飼い主さんの方に、しっかり説明すると思いますからね。。。

さあ、貴方がいつもワンちゃんのご飯に混ぜているそのお薬、副作用はありませんか?