大型犬を飼うと、少し大きくなってから訓練所に何ヶ月か預ける飼い主さんがいます。毎週週末に家族で愛犬の成長を見に行くと、我が子の賢さにホレボレ。訓練士の言う事をバッチリきいて颯爽と走って飛んでいる姿は何とも格好よくてウットリ。通りがかりのオバさんに、あれウチの子なんです〜なんて自慢したくなるのもヨク分かります。
さて4ヶ月の訓練期間が終わり、愛する賢い我が子が自宅に戻ってきました。
あらららら?なぜか全く言う事を聞きません。なんだか出した時よりも横柄になったような気さえする、どういうことなの!?あんなに高いお金払ったのに!!
これ、実にありふれた事例、しょっちゅう受ける相談なんです。
「ウチの子がバカに戻っちゃった!」なんて飼い主さんが言いますが、それは逆。実はその子がとっても賢いと言う証明でもありますよ。つまり飼い主さんがバカにされているわけです。要はしつける人間側の態度の問題。ここに純日本式訓練の難点があります。
犬のトレーニングには大雑把に2つに分けると「英国式」と「日本式」があります。
「英国式」は簡単に言うと「誉めて育てる」しつけ。そして「犬にとって最上のトレーナーは飼い主である」というのが大切なポイントです。目指すのは「良き家庭犬になること」「社会に迷惑をかけない犬になること」英国式トレーニングのスクールでは、先生トレーナーは犬に訓練を教えるのではなく、飼い主さんに「犬のしつけかた」を教えます。つまり犬の前に人間が学ばなければならない。理想的です。
対して「日本式」はいわゆるスパルタ、体罰方式。もともと警察犬訓練ですから、課題が全然ちがう。手に麻袋をはめてシャパードに咬ませたり、塀を飛び越えたり、カバンを守って吠えたり、そんな映像を見た事がある方も多いと思います。当たり前ですがコレを家庭でやられたら大問題(笑)。もちろん普通の家庭犬にそんなコト教えたりはしませんが、それがルーツですから、最終的に大きな差となって出てきます。犬は「訓練士がコワイから」色々覚えて「叩かれるのはイヤだから」言う事をきいているわけです。これでは家に帰って優しい飼い主さんの言う事、聞くわけありませんよね。
人間の子供でも色んな教育論がありますし、子供の個性によってまたよりよい教育の仕方も違います。これは犬でもまったく同じ事。まず自分の犬の性格・性質を見極めて、どういう伝えかたをしてあげれば一番良いのか、人間が考えなければ始まりません。「プードルのしつけかた」なんて本を買って安心していてはいけないわけです(笑)。
そして一番大切なのは、自分の犬を「どう」しつけたいのかビジョンをしっかり持つ事。誰の言う事も聞くシッカリした子にしたいのか。多少ルーズでも天真爛漫でいて欲しいのか。
知人にちょっと個性的な犬の飼い方をした人がいました。「自然のまま、しつけない」を最後まで通したのです。自然のまま思うままに吠えて噛み付く犬になりました。見た目は可愛いから近所の子供が触ろうとする、その度に血を見る、子供の親が怒鳴り込んで来る、知人はいつも怒鳴り返していました。「なぜウチの子が安全だと勝手に決めつけて触ったのですか?犬は咬むものなのだと子供に教えていないアナタが悪い!」
真似はできませんが、ここまで根性据えてやるのも1つの生き方ではあります(笑)。
さあ、貴方は怒って教育されたいですか?誉めて育ててほしいですか?放置されたいですか?(笑)