私は数年前にボルゾイ犬のメスを飼い始め2才になった時に、知人のすすめもあって出産させました。
ボルゾイ犬は今でもめずらしく、当時、書物でボルゾイ犬を知った私は何軒かのペットショップに声をかけ、その内の1軒が子犬を取り寄せてくれました。
私の1ヶ月分の給与と同じ金額を支払ったのを覚えています。
さて10時間を超えるお産の末に何と11頭もの子犬を産みました。
買うと売るとは事情が違う事はわかっていましたが、一時は正直、11ヶ月分の給与を手にしたような気になりました。
子犬は日増しに成長しましたが、母乳不足におちいり、人工ミルクを与えましたがもともと小さかった2頭が死亡し、9頭が残りました。
9頭の子犬が片付くまでの費用は交配料、交通費、レントゲン代、ミルク、広告、血統書代など185,000円でした。
9頭の子犬の売り上げは3頭の無償を含め180,000円でした。
最近発行された書物でもボルゾイ犬の参考価格は20万円以上と書かれています。
ブリーダーというのは私のように損をして子犬を産ませているのでしょうか?
どう考えてもペットショップだけが儲かる仕組みに納得行きません。
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質問者が特別な経験をされたと言うのではなく、何度繰り返されても、この結果と大差ないと思います。
ボルゾイのような大型犬は陳列に入れて売るような犬ではありませんから、ペットショップは注文が無い限り、絶対に仕入れません。
めずらしい犬は「市場性が無い」と言うのが適当かと思います。
業界には「子犬の市」と言うものがあり、かりにボルゾイ犬がセリにかかったりしますと「そんなもん出すな」とやじが飛ぶありさまで、売れても1万円そこそこです。
この種の犬は1部の飼育者が趣味の世界で産ませるケースがほとんどですから、業者ですら探すのが困難です。
しかし、消費者からこの種の犬の注文を受けたペットショップはかなり本気で探します。
高く売れるからです。
ペットショップは何人もの人脈を経て、ボルゾイ犬を見付けます。
何人もの人脈はそれぞれ仲介料をとり、最終ペットショップは何倍かを掛けますから、消費者は相当の金額を出す事になります。
つまり「めずらしい」犬は高いのです。
あえて言うと、この種の犬の値段はほとんどが流通コストです。
ボルゾイの繁殖者が子犬を売る時に安いのも「めずらしい」からです。
市場性が無く、欲しい人が居ないから値がつかないのです。
「高い犬の子犬は安い」理由が納得いくと、逆に「安い犬の子犬が高い」事も理解いただけるでしょう。
いっぱい産まれているから消費者が買う時は安くなります。
消費者に人気があるから生産者は高く売ることができます。
つまり人気犬種は小さな利幅で流通します。
繁殖ビジネスを真剣に考えるならば、いくつかの条件をクリアーしなければなりません。
繁殖犬種の選定は最重要です。
「今」を見るのではなく「先」を読まなければなりません。
どんなビジネスも「ブーム」は初期には味方ですが、別の「ブーム」のためにつぶれる事も多いですから。
販路を作ってから繁殖を始める事も必須です。
質問者の例でも分かるように、生体の流通は閉鎖的であり未進化です。
溝を掘ってから蛇口を開けないと悲惨な事になります。
大型犬(特種犬)を飼育している方は血統書をご覧下さい。
ブリーダーは最初のお産で生まれた子犬にはAから始まる名前、次のお産でBと言うように名付けます。
大型犬(特種犬)の場合、質問者の例のように2度と産ませないケースが多いため、Aから始まる名前がほとんどです。