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特別コラム

原田コラム(26)イギリスのブリーダー

イギリスに駐在中に犬のブリーダーを紹介された事があります。
プライドを持って仕事をされており、ブリーダーの仕事に非常に興味を持ちましたが、日本ではブリーダーに対する印象はあまり好いとは思えません。
何が違うのでしょうか?

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子犬の流通形態の違いが原因だと思います。
イギリスに於ける犬のブリーダーは多くの場合、他の職業を持っていて、自分の好きな犬種の質の向上を目指して繁殖に取り組んでいます。
子犬の譲渡に際しても自前の信念を曲げる事はなく、気に入らない相手には譲りません。
日本の場合には、最初から増殖事業として参入する例が多く、何頭飼育すれば年間何頭産まれて、いくらになるか?
いわゆる掛け算のビジネスとなっています。(もちろん例外もあります。)
日本ではブリーダーはペットショップに子犬を卸し売りするのが普通で、この場合には信念やプライドは邪魔になります。(もちろん例外もあります。)
ペットショップは仕入れた子犬の由来(ブリーダー名など)はお客に知られない方が商売はしやすいですから、ブリーダーの役割りは権利も責任も含めて卸し段階で完全に終わるのです。(もちろん例外もあります。)
この悪しき業界慣習が我が国の犬のブリーダーの地位をおとしめていると言って良いでしょう。(もちろん例外もあります。)
物質面では日本はペットの先進国ですが、ペット文化の輸入はかなり遅れているようです。
法律上は「いのちあるもの」などと定義しても、子犬が「利幅の多い商材」として市場で競り売りされる流通事情はすぐには変わらないでしょう。
ブリーダーが子犬を直接譲渡する気運が高まるとよいのですが。