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特別コラム

原田コラム(24)名板貸し人の責任

昔はどこのデパートの屋上にもペットショップがあったと思うのですが、最近は見かけなくなりました・・。

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理由はいくつかあると思います。
空調システムの進歩によって、屋上でなくてもペットショップを作る事が可能になりました。
実際、洋服売り場の横にペットショップがあるデパートもあります。
デパートの屋上のペットショップの前には1階まで通じるエレベーターがあったのを覚えていますか?
デパートは食料品も扱いますので、衛生上の観点から来客のルートについても制約があったのです。
屋上直行エレベーターを確保するのが難しくなった事も理由のひとつでしょう。
ペットビジネスに携わる人は知っておかねばならない重要な理由がひとつあります。
過去に、ある量販店のテナントとしてペットショップがありました。
このペットショップが売った小鳥が原因のオーム病で、お客様が亡くなり遺族が量販店を訴えました。
量販店側はペットショップはテナントであり、店のスペースを貸しただけだと主張しましたが、この裁判で量販店の責任が問われました。
判決は「テナントの犯した不法行為の責任はスペースを貸した量販店にある」としたのです。
テナントのペットショップが販売する動物の健康状態に責任をもつ事が量販店側にできるでしょうか?
この裁判を契機にデパートや量販店はペットショップに対する「名板貸し」をためらうようになったのです。
会社法では「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、その会社が事業を行っているものと誤認してその他人と取引した者に対して、その他人と連帯して取引によって生じた債務の弁済をする責任を負う」と定めています。
と言うことは「その会社が事業を行っているものと誤認」させなければ良いのですから・・。
近年、デパートのテナントであるペットショップが自分の「屋号」を明示して営業している例が多いです。
この裁判には別の側面があったと私は考えています。
事件の直後、テナントは閉店し、賠償能力はありませんでした。
被害者を救済するには大家さんである量販店に責任を・・。
考えすぎでしょうか?