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特別コラム

原田コラム(1)血統書の信頼性

うちのギーコ(コーギー)が子供を生んだんです。
3匹生まれて、1匹はうちに残して知り合いに1匹、残りの1匹を近くのペットショップに引き取ってもらいました。
お父さんはこのショップの犬で血統書がありますが、訳あってギーコには血統書がありませんから随分安く引き取られました。
数日後に近所の奥さんが「お宅の子犬を陳列で見た」と言うものですからショップに見に行きました。
ギーコの子である事は間違いありませんが、びっくりしました。
何と血統書付きと書いてあり、値段は私が売った6倍でした。
母犬に血統書が無いのに子犬に血統書が付くなんて、ありですか。

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血統書と言うのは公的書類ではありません。
血統書を発行する団体は誰でも開業できます。
血統書を発行している団体は、血統書の発行申請があれば申請書通りに発行するので、実際に生まれたのかどうか調べる事はありません。
見に来る訳でもないので、確認のしようがありません。
そのペットショップはめすの血統書を持っていて、自分のおすとの間で出産した事にしたんだと思われます。
血統書と言うのはそんな事もありうる書類であって、真偽を疑い始めたら世の中騒然とするでしょう。
「国際公認血統証明書」なんて書いてあるから誤解するのも無理はありませんが、もともと血統書を発行する団体が記載内容に責任を取る書式にはなっていません。
つまり血統書発行団体は、その犬の純粋性を証明したり、親子関係を保証したりはしていないんです。
各団体の血統書の一番下の行を読んで見て下さい。
血統書の記載内容は団体が保管する「台帳の内容と相違ない」事」を証明する。
と書いてあります。さらに各団体は「台帳は繁殖者の申請書どおりに作る」と説明しています。
これじゃ裁判のしようもありませんよね。
DNA鑑定で親子関係の証明をしようと言う動きもありますが、そこまでやると人間の親子関係だって、困るケースありますよね。
そもそも血統書の真偽について議論するのはこの業界ではタブーなんです。
以前某テレビ局が「血統書とは何か?」と言う番組を作ろうとしましたが業界人が誰も協力せず実現しませんでした。